東京湾について

東京湾について

東京湾の範囲は、一般的に狭義の東京湾は内湾のことを指し、そこに外湾部分(浦賀水道)を加えたものが広義の東京湾とされています。千葉県側の富津岬と神奈川県側の観音崎を結んだ線の北側を内湾部と呼びます。内湾は平均水深15メートルと比較的浅いのですが、外湾には急激に深い海底谷が存在します。ここ50年間の埋め立てで、一割以上の海面が陸地となり、内湾部の自然海岸はわずか1.8%しか残っていません。工場廃水や生活廃水でよごれた海、死んだ海といわれてきた東京湾ですが、川などから流入する水質は良くなっています。しかし、それ以上に過去の堆積物や排水負荷が大きく、海の自浄作用によっても、なかなか東京湾の水質はよくならないのが現状です。

東京湾
◆基本データ
湾口幅: 20.9km
面積: 1,380km2
湾内平均水深: 約40m
海水容積: 600億km3
周辺地域: 千葉県、東京都、神奈川県
主な港: 横浜港、東京港、千葉港、川崎港、横須賀港、木更津港
東京湾に流れ込む 
川の流域面積:
約9,300km2
流域人口: 約3,000万人

環境の一番の変化は漁獲量

東京湾の範囲は、一般的に狭義の東京湾は内湾のことを指し、そこに外湾部分(浦賀水道)を加えたものが広義の東京湾とされています。千葉県側の富津岬と神奈川県側の観音崎を結んだ線の北側を内湾部と呼びます。内湾は平均水深15メートルと比較的浅いのですが、外湾には急激に深い海底谷が存在します。ここ50年間の埋め立てで、一割以上の海面が陸地となり、内湾部の自然海岸はわずか1.8%しか残っていません。工場廃水や生活廃水でよごれた海、死んだ海といわれてきた東京湾ですが、川などから流入する水質は良くなっています。しかし、それ以上に過去の堆積物や排水負荷が大きく、海の自浄作用によっても、なかなか東京湾の水質はよくならないのが現状です。

わずかに残る貴重な干潟の分布
わずかに残る貴重な干潟の分布
参考文献:
『生きている海 東京湾』
著者/香原知志/講談社 1996年
『干がたは海のゆりかご―東京湾の海を守る―』
文・川嶋康男/絵・すずきもも/絵本塾出版 2012年

東京湾の環境の最大の問題デッドゾーン(死の海域)

東京湾の環境の課題は、東京湾で獲れる魚が少ないことです。獲れる魚もスズキに偏るなど多様性が減少しています。この一番の原因は、主に夏に生じる水中の酸素濃度が極端に低い場所、デッドゾーン=貧酸素水塊です。これが発達すると、せっかく育ちつつある生物が大量に死滅してしまいます。それによって死んだ魚がまた環境を悪化させることになり、その悪循環が最大の問題なのです。富栄養化(窒素やリンが多すぎる状態)の海で日照が強い夏には、植物プランクトンが死滅して、海の底に落ちて、これを微生物が食べて分解します。このときに酸素を使うため、海の底付近の水中に溶けている酸素の量が減少します。この範囲が広大に拡がり、逃げ遅れた生物が死ぬことになるのです。こうして、せっかく育った魚が死滅するとともに、死んだ魚は栄養分となり、富栄養化やデッドゾーンの原因となります。

東京湾の貧酸素水域
東京湾の貧酸素水域
参考文献:
『江戸前の魚喰いねぇ!豊穣の海 東京湾』
編者/磯部雅彦/東京新聞 2010年